『初恋と失恋』
YOO SOAR視点
わたしの名前はユ ソア
中学3年生。
住んでいる場所はNewCrest
父、母、高校生の兄が二人。3人兄妹の末っ子。
恋はまだしたことがない。
学校の帰り道。恋人繋ぎをして歩くカップルを見て
「羨ましい!あんな風に恋したいねっ」と、友達が私に同意を求める。
私も「したい」とすぐに答える。
恋して両想いになって手を繋ぐ。
それがとても幸せそうでどんな気持ちになるのか知りたい
そう思ったーーー
帰宅するとお母さんが私にシウ兄ちゃんの友達が遊びにきていると伝える。
お母さんは時計を気にして急いでいるようで、「お兄ちゃんの部屋に飲み物持って行ってあげて」と人数分のジュースが置かれたトレイを指差しパート仕事に出かけて行った。
言われた通り、お兄ちゃんの部屋までジュースを運ぶ。
ドア前で片手にトレイを持ち直し、ドアをノックして、開ける。
遊びに来てるのはいつものメンバーだ。
そのうちの一人、ルカお兄ちゃんがトレイを代わりに持ってくれて「ありがとう」と笑顔で言ってくれる。
1番上のシウ兄ちゃんの幼馴染で私も小学生の頃から知っている。
優しくて大好きで血の繋がりはないけど、お兄ちゃんみたいな存在だ。
小学生の時にルカの妹になりたいと駄々をこねた事すらある。
トレイを渡したので自室に戻ろうとドアノブに手を掛けたら、
「告白された?3-Aのマドンナに??」
シウお兄ちゃんの驚いた声が耳に入る。
振り返ると頷いていたのはルカお兄ちゃんで、私はその話の続きが気になった。
けれどこれ以上の長居は盗み聞きみたいで出来ずにお兄ちゃんの部屋を後にした。
ドアを閉めた後、扉越しに声がかすかに聞こえるが内容まではわからない。
その日の晩はベッドでなかなか寝付けず、寝返りを繰り返した。
ルカがどう返事したのか関係ないと自分に何度言い聞かせても、話の続きが気になって気になって仕方なかった。
少し遅くなった学校からの帰路、自宅前に着いて反対方向から歩いてくるルカと綺麗な女の人に気づいた。
女の人はルカと同じ学校の制服を着ていて胸がはち切れそうな程大きい。
ウエストもくびれていてスタイルも良く肌つやも良い。
マドンナと呼ばれる程の容姿を持っている。
歩くことを忘れ立ち止まっているとルカお兄ちゃんに気づかれて、「ソア今帰り?遅いね」と声をかけられた。
ずっとルカが好きだった。
頭がよくて。気遣いが素敵で。
誰よりも優しくて、笑顔が眩しくて。
綺麗な青い目をしていて。吸い込まれそうで。
妹になりたいと思ったのはずっとそばにいたかったから。
そばにいたいと願ったのは
恋心だったんだとルカが女の人といるのをはじめて見て。
痛感した。
「どうしたの?体調わるい?」
おでこに手を当てて熱を測られる。
「なんでもない」
そういって手を振り払い走った。
乱暴に振り払ってしまった事に罪悪感を覚えながら
それでも後ろを振り返ることもできずに。
恋して、両想いになって、手を繋ぐ。
どんな気持ちになるのか知りたかった。
好きな人が他の人と手を繋いだらどう思うかは知りたくなかった。
ルカとその人は手を繋いでいた。
告白されて断ったなら繋いでるはずがない。
そう気付いて涙が止まらなかった。
1部 おわり
ルカが高校生の時のお話です💁
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