気持ちの整理
ユ ソア視点
彼女がいる人を好きなのは不毛だとわかっている。
もう好きじゃないと自分を誤魔化し、取り繕い、恋心はずっとくすぶったまま私は高校生になった。
気持ちに区切りをつけたつもりだった。
何も知らない彼に笑顔で優しくされても、もう好きではないと何度も何度も自分に言い聞かせた。
ある日、
美容室の帰り、ルカが女の人といて彼女にキスされるところを目撃してしまう。
彼女がいたら当たり前のこと。当たり前にすること。
知っているのと見るのでは大きく違った。
衝撃的過ぎてその場で泣き崩れて辺りが暗くなるまで何時間も泣いてしまっていた。
醜い嫉妬の感情がまだ彼を忘れられていないと私に告げている。
早く忘れなければ。
相手には彼女がいる。
学校から家のあるNewcrestに帰ってきて自宅の外装が見えてくる。
「ソア」
名前を呼べれて振り返ると中学の時クラスが一緒だった男の子だ。
「少し話せる?」
そう呼び止められて承諾すると
ルカお兄ちゃんとシウお兄ちゃんが彼の後ろを通る。
「今週の日曜デートしないか」
男の子から初めてのお誘いだった。
ルカお兄ちゃんがその言葉と同時にこちらを見て目が合ってしまい、心臓が跳ねて飛び出るかと思うくらいドキドキする。
気まずさから隣のシウお兄ちゃんの方を見たらニヤニヤしていて少しムっとする。
自分の家族と、ずっと恋心を抱いている人にその場を見られている事実が恥ずかしくてよく考えもせずに「わかった」と二つ返事をしてしまう。
その返事に男の子は日曜のお昼過ぎに迎えに来ると伝えて走り去ってしまった。
「デートか(・∀・)ニヤニヤ」
「お兄ちゃんウルサイ」
足早に自分の部屋に入りベッドにうつ伏せる。
はじめてデートに誘われたのに
わたしの細胞全てがまだルカお兄ちゃんが好きだと叫ぶ。
ルカが彼女と別れたと聞いたら嬉しかったし、
ルカが付き合う女性は胸が大きいような気がして胸のマッサージをしたりもした。
好きだという勇気はないのに姿を見るだけで心臓は飛び跳ねる。
ルカにまた彼女ができたと聞いて落ち込み
新しい彼女といるのを目撃して、その場で崩れて泣いた。
格好悪い。わかっている。
ただ好きな気持ちが消えてくれない。
自分だけずっと好きでつらい。
他の人とデートすれば忘れられるだろうか。
日記にルカの事が好きすぎてつらいと書く。
自分の気持ちを文字にして書いたものを読んだら泣けてきて。
その日は夕飯も食べずに泣きながら眠りについた。
二部 おわり
シウ(兄視点)のオマケあります。
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